きものコラム
とうろう流し
8月15日(土)は、隅田川でとうろう流しがあります。
そこで今回はとうろう流しにちなんで、お盆のお話。
とうろう流しは、送り盆に先祖の魂を弔うためにとうろうなどにお供え物と一緒に川に流す行事で、全国的には「送り火」の一種だと考えられています。
長崎県などでは、精霊(しょうりょう)流しと呼ばれ、
精霊舟と呼ばれる舟に故人の霊を載せて運ぶというもの。
この長崎の精霊流しは中国の影響を受け、爆竹の音や祭りさながらの雰囲気のようで、送り火の中で、静かに先祖を見送るというのとはかなり違いがあるようです。
ちなみにとうろうを流すのではないのですが、
私の生まれ故郷の高崎では、迎え盆の時盆棚を家につくり、
玄関先にきゅうりとなすに割り箸を刺して
きゅうりの馬(先祖が足の早い馬に乗ってくる)、
なすの牛(景色を観ながらゆっくりと帰るという意味)を作り置いておきます。
ですので各家できゅうりの馬となすの牛をみかけると、お盆だなあと実感していました。
地域によって様々な風習が伝わっていて興味深いですよね。
また、この時期の行事としては、盆踊りがあります。
これは、500年の歴史のある民族芸能ですが
現在では娯楽的な要素が強くなっていて、屋台の綿菓子や焼きそばを食べたくて
子供の頃は親と一緒にでかけた思い出も多々…。
最近は先述のとうろう流しも環境問題に配慮して取りやめたり、今年は露店が禁止になったりと風習も変わってきていて、少し残念。。
きものの世界でも、職人さんがどんどん減り日本の文化の継承も難しくなってきています。
この時期の日本文化といえば、やはり浴衣ですよね。
花火大会だけでなく、盆踊り、とうろう流しの機会にも浴衣をきてみませんか?
そして先祖を思い出しながら、
感謝し、自分自身がより良い人生を送れるよう、ご自身の「良いところ」を再確認してみてはいかがでしょうか?
なかなか自分の良いところは、自分では気づけないものですが、浴衣を着ておでかけする。そんなすこしの出来事で、きっといつもと違う自分を発見できると思います。なんといっても現在生きている私たちが幸せでいることが、故人が喜ぶ事だと思っておりますので、そんなお手伝いをかさねではさせて頂きたいなあと改めて感じるのでした。
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