きものコラム
かさね母と娘の「きもの着まわし術」〜11月 赤の色無地〜
今月の母と娘の「きもの着まわし術」。
こちらの投稿では、母娘で同じ着物、同じ帯を使い年代別の二通りの着こなし方を提案しています。お持ちの着物をうまくシェアしていきましょう。
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今回は母の赤の色無地が主役です。
あと数年で還暦の母。普段は寒色の淡い色の着物が多いのですが、どうやら赤が着たくなったようで。
広い面積を占める着物の赤と、帯•小物の掛け合わせ。
そんな赤の色無地を主役に、50代母と30代娘のそれぞれのコーディネート例です。
もうすぐ12月、クリスマスパーティーにも良いですよ◎
◆11月の着回し着物◆
着用した着物: 赤の色無地
帯:神坂雪佳の柄の洒落袋
◆50代母の着こなし◆
身長:157cm
年齢:50代
着こなしのポイント
赤い着物はやっぱり気分が明るくなります!思いっきり楽しんで着ましょう♪着物のインパクトが強いので、ガチャガチャにならないよう品を保ちながら小物で遊びます。
<小物:色味を抑えて品よく>
帯揚げ、リバーシブル四分紐、娘制作帯留め(私物)
神坂雪佳の織の袋帯はマットな雰囲気があり赤の着物に合わせても両方が引き立ちます。黒の四分紐でしっかりしめて、ポイントにやきものの赤の花の帯留めを。
そして首もとは刺繍の半衿で、少しだけ遊びと変化を。
<母のこだわり:牡丹の刺繍>
この色無地には背紋の所に、娘がデザインした牡丹の花のオリジナル刺繍を入れました。柔らかいポイントとなっています。
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◆30代娘の着こなし◆
身長:162cm
年齢:30代
母との身長差:5cm
<着こなしのポイント>
全体的に母より色を使って30代らしさを意識しました。
<小物:使う色味の時代感を合わせてアンティーク風>
帯揚げ、三分紐、娘制作パール付きやきもの帯留め、半衿(私物)
帯揚げ、三分紐の色味や帯留めの時代感を合わせて全体的にアンティーク風にしました。帯留めは以前やきもので自作したものです。強い着物と帯の柄にも負けずに存在感を出してくれます。
後ろ姿は着物と帯のコントラストですっきりと。
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<赤(朱)色のお話>
中国の影響を受けていた古代日本は、冠位十二階や衣服令(えぶくりょう)で、身分により着用できる色は決まっていました。
ただ諸説あるようなので、色彩から赤を調べて見たところ、古代日本においての赤は、丹(赤土)を使っていて縄文時代の土器や埴輪からも朱色ばかりだったことがわかります。中国の五行思想から赤(火)は魔よけの意味や強い印象として、社寺の鳥居(朱塗り)等現在でも多く残っています。
因みに色彩の三原則の青(木)赤(火)黄(土)を組み合わせればどんな色も表現でき、白と黒を加えて多彩な色表現技術が完成してきたらしいとわかりました。現在は、草木染めや化学染料もあって、一口に赤といってもたくさんの色味があります。時には思いきって赤を着用してみるのも楽しいです。
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同じ着物と帯でも、年代や小物使いで印象ががらりと変わります。
最近はお家にある着物を活かしたい、頂いた着物をどう自分なりに着こなしたらいいかわからない、という方も多いですので、お着物を楽しんで頂くきっかけになれば幸いです。さっそく、お家にある着物を羽織ってみましょう。
それではまた次回をお楽しみに。
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